【映画】ツリー・オブ・ライフ
- 2011.08.15
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2011年 アメリカ
原題:THE TREE OF LIFE
監督・脚本:テレンス・マリック
出演:ブラッド・ピット、ジェシカ・チャステイン他
2011年8月14日 ワーナーマイカルシネマズ板橋
カンヌでパルム・ドールをとったときの印象は、ブラピ&ショーン・ペンってこともあって『バベル』とか『ノー・カントリー』のようにアカデミー賞にも絡んできそうな作品なのかなあ、その割にはカンヌで観た人が「意味不明」みたいなことも言っているし、どうなんだろう?という感じだった。
パルム・ドール受賞作って、知っている限りでは大当たりもないけど大ハズレもないので、せっかく観やすいワーナー板橋でやってることだし、テレンス・マリックさんの映画は観たことないし、つまらない映画だったらDVDで観る方が大変だろうし、Yahoo!のレビューで『パラダイス・キス』とかを観てる人が酷評しているから逆に良さそうだし、、、などの動機により観に行くことに。
まずは冒頭で、イメージ映像的なものと宗教的なナレーションで、映画のテーマ的なものをにおわせ、その後、登場人物の紹介と、家族に起きたある重要な「事件」の描写などで、ざっくりと背景を説明する。で、その後、ショーン・ペン(ブラピの子供の今の姿)が、世界自然遺産にでも登録されていそうなエキセントリックな場所をうろつくシーンがあり、そのへんをきっかけに、ビッグ・バン(と思われる)に始まる宇宙〜地球(ジ・アース)の歴史を30分以上(たぶんそのぐらいの時間)にわたりディスカバリーチャンネルのごとく見せる。途中、中途半端な感じのCGで恐竜ちゃんが出てきて、意味ありげな芝居(?)をしたり、終盤では確珍犯的な魚とか、確まん犯(?)的な生物が出てきて、いかにも人類の誕生をにおわせたり、それなりに意味ありげな(このあたりにナレーションがあったかどうかは忘れたが)流れにはなっている。ちょっと長過ぎるが、これもテーマ説明の補足なのだろう。
とりあえず、このへんで半笑いというか苦笑いというか、「やっちまった」感が出てくるのだが、予告編を観た限りでは、どう考えてもこの後に人間ドラマが待っているはずなので、待っていたら、ようやく人間界のドラマが再開された。
で、このドラマは、はっきりとしたストーリーは無く、どちらかというと子供時代(ショーン・ペンの幼き頃と、弟とご両親)の断片的なエピソード集になっており、「お父さんは食卓の雰囲気悪くしがち〜♪」というような「家族あるある」の羅列になっている。
そしてクライマックスは、ブラピ演じるお父さんに事件が発生し、それをきっかけにして何やら家族の雰囲気が変化するというもの。
で、またディスカバリーチャンネルが再開したかと思ったら、こんどはショーン・ペンがまた世界自然遺産に登録されていそうなエキセントリックな場所に登場し、建物の出入り口の残骸のようなどこでもドアみたいな枠をくぐると、なんかだだっ広い場所に、おそらく彼がいままで関わってきた人(関係ない人も?)が、うろついていて(こういう描写は前にも観たことがあるが、それもキリスト教的なものだったような覚えが)、最後にはついにブラピ&ショーン・ペンの競演が実現する。
そうこうしているうちにめでたしめでたしと、映画はエンディングを迎える。
このように書くと、トンデモ映画のようであるが、実際、見た目は結構トンデモ映画の要素を持っている。ただ、「意味不明」とか「退屈」と切り捨てられるようなものでもなく、それなりに作者の意図を考えさせられるし、意図はわからなくてもいろいろと考えることはできるような作りになっている。
予告などでは、「厳格な父親との確執」云々みたいなことが言われているけど、そこはあまりポイントではなさそう。実際、ちょっと気難しいだけの父親だし、子供のエピソードも上記のように断片的で、成長を描いているという感じでもない。実際、子供(を含めた家族)の変化は、終盤の「事件」をきっかけに突如訪れるという描き方になっているし、子供時代のことが、大人になってどどのように影響しているのかというような描写もない。
「世俗に生きるか恩寵に生きるか」というようなことを含めた宗教的なテーマが、ドラマとうまくかみ合っていないのと、ディスカバリーチャンネル映像などの使い方(編集)に違和感がある、というあたりが最大の問題かな。
不思議な映画体験ができることは間違いないけど、シネコンでしか映画を見ないような人には厳しいだろうな。中にはこれで、映画に目覚める人もいるかもしれないけど。
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